アメリカのAICカナダ大会に参加しました

スタッフの安田です。アメリカの文化財保存修復学会のAICのカナダ・モントリオール大会に初めて参加したのでそのご報告をします。(AIC=American Institute for Conservation of Historic and Artistic Works)
海外のコンサベーションの大会はIICとIADAに行ったことがありますがAICは初めて。しかも今回はスピーカーとして参加。
テーマは「Emergency!Preparing for Disasters and ConfAIC_tomokoronting the Unexpected in Conservation」。
メインは5/15日~17火の3日間で、前後の13,14,18にツアー、Pre-conference sessionやworkshopなどのイベントがあり、盛り沢山なスケジュールです。
私のプレゼンは2日目5/16月の午後のセッション(2:00-3:30pm)で日本人4人によるパネル90分間。

タイトルは、Saving and Preserving Family and Local History from Natural Disasters:Addressing Challenges from the Recent Earthquakes in Japan (自然災害から個人や地域の歴史を救い保全する:日本における最近の地震からの課題に取り組む)

メンバーは
ケンタッキー大学のConservation Librarianの日沖和子さん
神戸史料ネットの吉原大志さん
宮城資料ネットの天野真志さん
TRCCの安田智子の4人
ヒストリアンとコンサバターの混成チームです。テーマといい、このメンバーといい、なぜ?なのかはまたの機会に書きますね。

Processed with Rookie Cam

パネルの構成は、
日沖さんの担当は、スピーカーの紹介とアメリカの聴衆のために日本とアメリカの文化財保存や指定制度など背景の違いの概説です。
吉原さんは日本全国の資料ネット(総称としてShiryo-Net)についてプレゼンする役目です。1995年の誕生の経緯や市民ボランティアとの関わり、20年間に発生した災害で行ったレスキュー活動や吉原さんが行っている被災資料を手当てするワークショップの成果を紹介しました。
天野さんは2011年の東日本大震災による激甚な被害を被った宮城県での宮城資料ネットの活動についてのプレゼンター。被災地のヒストリアンとして5年間の資料のレスキュー経験を話しました。未指定資料も救済しやすくなった一方で、宮城資料ネットが今なおレスキューし続けて、膨大な被災資料を抱えて、ボランティアだけでは処理できないジレンマがあると課題もあげ、コンサベーションの専門家と協力し合う必要性に気づいたことを話しました。
私、安田はコンサバターとして資料ネットとの関わりをプレゼンする担当。2011年に宮城資料ネットや他の資料ネットの現場を訪れた経験やその後宮城でのワークショップを機にTRCCのマスコンサベーションの考えが資料ネットの2人に理解されていった経緯、レスキュー資料の保全が長期化している現在の問題にも触れました。天野さんを受けて、資料ネットとコンサバターと市民ボランティアが一体となって日本の歴史資料を保全するマスコンサベーションを模索中ですとつなげて終えました。

質疑応答では次々と質問がありました。(これが大事ですよね!)
Q 資料ネットの活動は今でも資金面で厳しいのか?
Q アメリカでは災害の場合は保険などで民間の災害復旧会社が対応するのが一般的だが、日本はないのか?資料ネットはそういうサービスも使えないのか? 
Q 資料ネットの市民ボランティアで資料を扱うのに興味を持ってコンサバターになりたいという人がいるか? 
Q 資料ネットのボランティアには海外からきてくれたことがあるか?外国人でも参加しているか?

答えは、以下です。
A 資料ネットは今でも資金的には厳しい
A 日本はアメリカとは保険制度が違うので民間の災害復旧会社やコンサバターに依頼するのは現実的ではない
A コンサバターへの関心を持つボランティアはあらわれたが現実的には厳しいようだ
A (資料ネットにではないけれども)海外の資料保存関係者から、被災資料の応急処置や資料所蔵機関の災害対策に関する文献が送られてきたことがある。

いずれも、資料ネットやコンサベーションに関する本質的な質問だったので、我々のプレゼンが聴衆に伝わったんだなぁ~とわかりとても嬉しかったです!
「よくわかったよ、いいプレゼンでしたね」とNY大学のコンサバターやDCの災害関係者の方に声をかけていただき、初めての海外での発信は成功といえるのではないでしょうか。AICのサイトに私たちのパネルの感想が載っているのをみつけました!「日本からのこのShiryo-Netの発表では、北米の災害のコンサベーションと違う対応でボランティアが資料を救っていること、ただし膨大な資料を救うにはさらなる展開developが必要がある、国が違うと資料の背景や被災資料を見つけて救い出す方法が違っていることは驚きだ」とありました。以下がコメントの全文です→

http://www.conservators-converse.org/2016/06/44th-annual-meeting-saving-and-preserving-family-and-local-history-from-natural-disasters-addressing-challenges-from-the-recent-earthquakes-in-japan/

こういうふうに感想を寄せてくれるとはうれしいですね。海外で日本のことを発信する機会を持つことで、いろんな気づきが得られたAICの発表でした。

AICの参加記はもう少し続きますね。

2 comments

  1. 古希Tennis player says:

    こんにちは。還暦投手を卒業して古希テニスプレーヤーに乗り換えました。AICカナダ大会に出席され日本における古文書修復の現状などの発表、ご苦労様でした。そして各方面から賛辞の感想を寄せられがんばった甲斐がありましたね。これからも古文書修復の大切さを広めてください。

    • ありがとうございます。日本全国に大量に遺されている歴史資料を守り残す活動として資料ネットが果たす役割の大きさと課題を災害対応を例に紹介してきました。修復保存の最前線の活動ともいえるのでコンサバターとして彼らに貢献したいです。

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