ロンドン便04 建築アーカイブズ訪問

V&A museum正面ロンドンのビクトリア&アルバート美術館の別館にある英国建築家協会RIBA(Royal Institute of British Architects)の建築アーカイブズを訪ねました。アーカイブズコレクションの保存管理についてKurt Helfrich氏に案内してもらいました。

「ここは世界で一番大きな英国建築家のアーカイブコレクションを有しています」ときっぱり言われたのですが、まさにその通りでした。収蔵室は低温低湿にコントロールされており、図面だけでなく書簡や施工記録、スケッチブック、ドローイングや模型など1850年代から現代までの様々な建築資料が150万点保管されているとのこと。紙資料は保存箱に整理されていました。箱は800個以上あってベージュ色のシェルボックスと被せ箱タイプ、サイズ別に数種類で分類、G.RYDER社の安価な既成品で、量が多いので資料に合わせて採寸した箱を作ることはないとのこと。

整理番号や分類名が大きな手書き文字だったので理由を尋ねると、箱にラベルを貼らずに鉛筆で書く方がよいとのこと。理由は鉛筆だと番号を変更しても簡単に消せて印字する手間も省けてシンプルだからで分類番号も短くしているそうです。ただ鉛筆は薄いと読みづらいこともあるので「濃く書く」ルールがあるそうです。確かに鉛筆でもしっかりと書き込まれているので、最上段の箱の番号も読めました。アメリカの議会図書館のようにバーコードで管理していないのでRIBAの建築アーカイブズではシンプルな整理法で工夫しているとおっしゃっていました。大きな箱には図面類が収められていて、特に傷んでいる図面は2辺シーリングのポリエステルフィルムに挟まれていました。TRCCでもおなじみの図面の保存方法です。

建築アーカイブズの主役の図面類はきれいにフラットニングされており、数枚から十数枚ずつ二つ折りにしたボンドペーパーの間に挟んであります。量が多いから番号はパっと見てわかるように表の右下に書きますとの説明に、私も常々図面整理は表の決まった位置にナンバリングするのがよいと思っているので共感しました。

別の階の収蔵室は非常に天井が高くて、その天井まである移動書架に細かく棚板が入っていて、主に大きな図面やドローイングを収めたフォリオタイプの図面フォルダーとバックラム張りの頑丈で重い保存箱が保管されていました。図面フォルダーは厚みも薄く出しやすく、日本建築学会用に製作している図面フォルダーと同じです。バックラムの保存箱は頑丈ですが男性のHelfrich氏でも持ち上げるのに重そうで、昔はこれに入れていたが今は図面フォルダーの方が多いとのこと。

スタッフは7人いて目録作成や資料管理を行っていて、資料のフラットニングや点検はコンサバターが行い、デジタル化も内部で撮影しているとのことです。7人とは多いですね。

RIBAの建築アーカイブズのコレクションの量は相当ありスペースも規模も大きい素晴らしい環境でしたが、Helfrich氏によると完璧というわけではなく、古い建物を利用した収蔵スペースなので部屋の出口が小さくて大きな資料の搬出搬入が大変だし、天井が高過ぎて棚の最上部に収納するのは危ないと思っているとのこと。

建築アーカイブズは量が多いものだからと何度もおっしゃっていたのですが、保存公開には人が先を見越して知恵を働かせる必要がありますともおっしゃっていました。「RIBAは恵まれてるわ~」で終わらずに、「結局は人なんだな」と思わさせられるいい見学となりました。近いうちに日本にも建築アーカイブズが作られると聞きますが、常駐スタッフは不可欠でシンプルな方法でスタートすればよいと思われます。

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