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●ケンタッキー訪問記【リハウジング作業】

アーカイブを見た後にリハウジング作業の部屋に寄りました。
入り口のすぐ横の広い部屋が受け入れた資料の整理のスペースになっていて、たくさんの受け入れた段ボール箱があり、整理中の資料が広げられていました。

資料を新しいボックスに入れ替える作業では、分類整理のルールが決まっていて、個別フォルダを使って紙資料を仕分けていました。この過程で金属クリップを取ったり、ファイルボックスに入らない丸めたポスターなどは大判フォルダに挟まれます。マウントしたフィルムをアシッドフリーの容器にリハウジングしたり、社外倉庫に保管している資料の入れ替えといった私には珍しい作業も行われていました。

この時は資料は個別フォルダはかぶせ蓋ボックスにきれいに入れ替え中で、隣では大学アーキビストがそのボックスをデスク横に置いて、個別フォルダと広げた上で資料を見ながら書き込んだ情報などをパソコンで入力していました。個別フォルダは二つ折なのでサッと開けば中身は一目瞭然。これが封筒だと中身が見えず出して確認するのが結構な手間となるようで、リハウジング段階では資料を扱いやすい個別フォルダやL字封筒がよいことがわかります。ポストイットでメモを貼ったり、整理前段階の仮整理的な作業が無駄なく進めやすそうです。

広い部屋には資料がたくさんありましたが、整理に使う包材や箱が決まっていてルールがあるのでシステマチックに作業が進行しているようです。広い スペースは日本のアーキビストにはうらやましい環境ではないでしょうか。資料整理の参考になればと思い、紹介しました。

ケンタッキー大学訪問【アーカイブ】

スマファイ店長やすだです。 10月にアメリカのケンタッキー大学UKを訪問しました。 Conservation Librarianの日沖和子さんの紹介で、図書館のSpecial Collections&ArchivesのアーキビストのRuth Bryanさんにアーカイブを案内してもらいました。主に受入れ資料のリハウジングの流れを見せてもらいました!ukrh-01
大学の教授や関係者の資料や地域資料などを積極的に受け入れているとのこと。
一番初めに茶色い段ボール箱に詰め込まれた資料がある書庫に行きました。これは日本でもよくみる光景です。段ボール箱にガサッと入った受け入れ資料を選別するのがアーキビストの役目の1つ。ukrh-10
↓ リハウジングするとこうなります。↓ukrh-12-1

リハウジングの基本は、資料を整理して、新しいボックスや個別フォルダに納めていきます。その中で「金属クリップを取るかそのままか」「封筒から手紙を出して伸ばすか出さないか」「補修が必要か」といった判断をします。個別フォルダはアメリカ定番のMetal Edge社のがっちりしたA4のファイルボックスに収納します。 書庫に定型のファイルボックスが並んでいる様子を見ると、初めに見た段ボール箱からリハウジングしてスッキリ。スマファイと一緒♪

量が多い場合はかぶせ箱に個別フォルダをビッチリ詰めてました。「重くなっちゃうんだけどね」といいながらかぶせ箱を出してくれるRuthさん。大きな地図やポスターは平たい箱に平置きは日本でも同じです。あらためて、個別フォルダとファイルボックスの組合せは使いやすく、リハウジングの基本だなと思いました。
亀裂がある資料が出てきた時に「こういうのは補修するの?」と聞くと「補修したいと思うけど、歴史資料はたくさんあるから、時間や優先順位を考えないといけないので、うーんこれだと処置しないわ」と答えてくれました。日本の担当者と同じお悩みですね。

封筒よりも、個別フォルダが主流みたいです。個別フォルダへの資料番号やタイトルの書き方やそれぞれの位置もちゃんとルールがあってシステマチックに管理されています。
箱のラベリングは手書きもあれば、印字したラベルがきれいに貼られているものもあります。手書きは「大きな文字で見やすく」で納得。

日沖さんから聞いていたアメリカのリハウジングを実際に見ることができました。笑顔が素敵なRuthさんのテキパキとした案内のおかげで、リハウジングの概要を把握できましたが、 想像以上に、大量のアーカイブを上手に整理し省スペースでシンプルで使い勝手よく管理されていて、すがすがしい印象です。日本のアーカイブ資料にもリハウジングは相性がよさそうです。

ケンタッキー大学図書館のオフィシャルブログに私の訪問が載りました。http://uklibrariesbirdseye.blogspot.com/2016/10/tokyo-restoration-and-conservation.html

アーカイブのリハウジング【実践編】

基礎編では、アーカイブの原形保存において資料にどんな処置を施したのかという記録を残すことで、基本原則から外れることなく、資料の現状を改善して保全することがリハウジングですとお伝えしました。 リハウジングの基本作業自体は誰でもできることです。誰でもできるようにするには、マニュアルと監督役(=リーダー)が必要です。したがって実践編では、実際の作業について、これからリハウジングに関心を持つみなさまにお役に立つようにご紹介します。

♪リハウジング実践編 Advanced lesson about Rehousing♪

1)現状記録    Documentation
2)紐等の除去   Removing
3)ドライクリーニング Dry Cleaning
4)整形      Reshaping
5)容器収納    Repacking
6)再排架         Reshelving

●1)現状記録 Documentation
<記録:調書> 記録する項目は、年月日、通番号、資料番号、置き方、大きさ、厚さ、資料のタイプと綴じ形態です。 手っ取り早いのは、紙の調書に手書きで記入する方法ですが、後々のことを考えると、便利なのはタブレット入力です。NAJの調査研究もタブレットを利用しました。調書を何枚も持たなくてよく、項目の変更・追加も簡単で、入力データはそのままリハウジングのデータベースになります。
<記録:画像> 調書を補完する記録として画像を残します。デジカメで撮影しますが、近現代アーカイブ資料は似たようなものが多いので、代表的な資料をデジカメで撮影したら、後は「以下同文」扱いにできます。棚の外観撮影をしておくのもよいです。
<記録:その他> 記録は資料に目を通す機会なので大切ですが時間をかける必要はありません。リハウジングで劣化破損の診断をするならば、「診断基準マニュアル」を用意してください。診断に個人差が生じないように、平成26年度のNAJの劣化調査の診断基準、診断マニュアルの解説を参照してください。(pp63-70)

●2)紐等の除去 Removing
<紐・包み紙の扱い> 麻紐、ビニール紐が簡単にほどけなかったら、ハサミで切ってください。古文書と違って結び方などに特別な意味はほとんどありません。変わった紐は廃棄するかどうかをリーダーに照会してください。包み紙なども同様。
<資料の扱い> 紐や包み紙を取った後は、資料の順序が変わらないように気を付けて、仮置き箱を用意して納めます。資料が分厚ければ、適当な量に分けて枝番を付けて箱に入れます。ドライクリーニングの時に順番がわかるようにします。なお、仮置き箱は蓋のない浅いトレーのような形状がよいです。

●3)ドライクリーニング Dry Cleaning
これはクリーニングマシンが必要です。ない場合は、段ボール箱などで代用するしかありませんが、作業環境を整えるのは資料にとっても作業者にとっても大切なので、ぜひ購入してください。TRCCで使用しているHEPAフィルター付で優しく吸引してくれる卓上型はおススメです。
<クリーニング> 毛が柔らかい刷毛ややや堅めの刷毛をホームセンターなどで用意してください。最初はページを開かないで外側に付着した埃や塵等の汚れを払い落とします。次に表紙やページを開いて内部に入り込んでいる汚れを払います。紙が折れている部分や綴じの隙間には埃が入り込みやすいので、毛足の長い刷毛で丁寧に除去します。触っても手が汚れない程度になったら完了です。

●4)整形 Reshaping
本紙の折れやシワを伸ばしたり、はみ出した文書を整えて冊子の中に納めます。大きなパンチ穴の外れ程度なら綴じ直します。劣化が著しい文書があれば、封筒に入れたりしてバラバラにならないようにします。また錆びた金属留め具(ステープラーやクリップなど)について、除去するかしないかはリーダーに照会してください。
<整形と修復の違い> 道具や時間を要する専門的な修復技術と違い、リハウジングにおける整形は、原則として水や糊を使わないで文書の形状を改善する作業です。折れやシワを伸ばしたり、文書の偏りやはみ出しを整えるだけで、ずいぶんと資料が扱いやすくなります。1冊を修復する時間と費用で何十冊もの資料がリハウジングできるともいえます。

●5)容器収納 Repacking
資料を傷めないように使うのが容器・包材です。棚に排架しやすい定型の容器に資料を納めて保護します。例えば、縦に排架する薄い資料はパンフレットボックスに、封筒に入ってる資料はファイルボックスに納めます。いずれも出し入れによるストレスが改善されます。かぶせ箱も角0封筒が納まる小型サイズがあると資料がまとめて納められるので便利です。 文書のはみ出しや軽度の破損がある簿冊資料は保護用紙で包んで2㎜程度の厚いボードでしっかりと挟むアーカイブラッパーと紐帙(ヒモチツ)を組合せてリパッキングします。厚すぎる資料は分冊して保護用紙に包んで紐帙に挟みます。
<容器収納の効果> 容器が定型だと、スペースに無駄がなく排架がすっきりとします。資料に合わせて容器を作るより、容器に合わせた方が案外整理しやすいです。ちょっと傷んだ資料や弱い資料を紐で横方向に一重に括る、封筒に入れるといった簡単な方法だけでも資料を傷めません。簿冊資料のアーカイブラッパーと紐帙の組合せは、縦置きでも横置きでも、隣り合う資料を傷めないので便利です。

●6)再排架 Reshelving
棚を乾いた布で拭いてから資料を並べます。ファイルボックスやパンフレットボックスを利用すれば資料を積み重ねずに立てて排架できます。 再び排架する段階は資料を手に取っても黒くならないし出し入れしやすくなるのでとても気持ちがいい作業です。 3回に分けて、アーカイブ資料のリハウジングについて書いてきましたが、ここで小休止。 このトピックはスマファイに通じるものなので、また具体例やマニュアルについてもご紹介します。リハウジングしてみたいなと思ってくださったら幸いです(^.^)。リハウジング用の保存容器を近々webshopでも扱う予定です。詳しく知りたい方はスマファイ店長までメールしてください。

★おまけ
NAJのリハウジング調査ではしなかった書庫内作業ですが、オランダのアーカイブでは書庫の一角でリハウジング作業を行っARA_verpakkenてました。スタッフ2名が資料を刷毛でクリーニングしてから包材で包んで収納するリパッキング作業は、動線に無駄がなくテキパキと手を動かしてとてもシンプルな流れが印象的です。 オランダの公文書館職員のマニュアルの中にVerpakken van Archievenというリハウジングの章がちゃんとあるからだと思われます。(図はリパッキングの机や備品の配置図)  

★リハウジングの視点
日本のアーカイブズでもリハウジング的なことは当然行われています。受入れ資料を燻蒸して汚れを落として登録して収蔵するという一般的な流れはほぼリハウジングです。違いは、資料が紐で縛られて分厚かったり、汚損破損がひどい状態だと、利用が困難な資料として、原形保存に則った修復対象のように扱われてしまいがち。当然、大量の資料の修復予算はないためストップします。それをリハウジングの視点でみたら、クリーニング→整形→リパッキングの作業でかなり多くの資料が整理できるようになります。

アーカイブのリハウジング【基礎編】

入門編に続いて、またまたリハウジングです。
日本でアーカイブの保全や整理に関して、これが教科書というのは見当たりません。したがって公文書館や資料収蔵機関では、古文書整理の手法を基にして、行政文書などの近現代資料を保管しているのが現状です。ただし近現代資料アーカイブを和綴じの古文書と同じように扱うのは無理があります。
昨年度、近現代の歴史資料アーカイブの保全手段としてのリハウジングをNAJで調査研究したことを踏まえて【基礎編】と【実践編】に分けてわかりやすくご紹介したいと思います。

♪リハウジング基礎編 Basic Lesson about Rehousing♪
★リハウジングの流れ
まず最初に「資料の形態を変えずに収納を改善して使いやすくし、破損や汚損を増やさない予防処置」であるリハウジングですが、現在の形態を絶対に変えてはいけないという意味ではありません。資料管理者の多くが、グシャッと紐で括られたり綴じが外れかけている扱いにくい形も「原形」と思っているように思えます。不格好な厚い簿冊をわざわざ採寸して作った箱に入れることを、形態を変えずに収納を改善することだと思われがちです。箱に入れば確かに不格好な印象は見えなくなりますが、中身はありのままで~♪でちっとも使いやすくなってません。
これは公文書館における基本原則の原形保存の原則に「原形はできる限り変更しないこと」とあるからでしょう。たしかに古文書は綴じ方、折り方、括られ方なども重視されますが、近現代資料の場合ちょっと異なります。昭和の戦前戦後の資料を悲惨な状態で受け入れた場合、それは原形というより現状と言う方が相応しいはずです。
もちろん、このグシャッと折って紐で括って変形した状態も痕跡として意味があり原形保存の対象と見なすならば、それはできるだけ尊重してリハウジングするのが望ましいです。問題は何を原形として保存の対象とするかです。日本の近現代の公文書や簿冊資料の原形保存の概念をどのようにリハウジングに適応させるか。リハウジングに取り組む前にここを整理しておくと、リハウジングの流れが組み立てやすくなります。
ではどうするのか。
まず、リハウジング前の現状を記録に残してください。その上で思い切って古い紐は切ります、分厚い資料なら厚みを記録して分冊します。これが原形保存の原則と記録の原則に基づいたリハウジングの流れです。現状では扱いにくい資料の形態は変えなければ何もできないからです。資料を受け入れたらリハウジングというくらい業務の流れに組み込めると理想的です。

★リハウジング作業
1)現状記録    Documentation
2)紐等の除去   Removing
3)ドライクリーニングDry Cleaning
4)整形      Reshaping
5)容器収納        Repacking
6)再排架         Reshelving
*英語のイメージがわかりやすい場合もあるので併記しました。

主なリハウジング作業について簡単に説明します。
1)現状記録 Documentation
作業前に資料の現在の状態を記録する。調書作成と外観撮影。
2)紐等の除去 Removing:
資料の紐をほどくあるいは切る。包み紙を除去する。
3)ドライクリーニング Dry Cleaning:
資料の表紙、天、地、小口等の塵や埃を刷毛できれいにする。
4)整形 Reshaping:
資料の折れやシワを伸ばし大きくはみ出した文書を中に納めて全体を整える。
5)容器収納 Repacking(Repackagingともいう):
必要に応じて資料を紙やボードと紐で包んだり定型のファイルボックスに収納する。
6)再排架 Reshelving:
パンフレットボックスを利用したりして資料を傷めない排架に変更する。

基本的にこの1~6の作業はすべて修復保存の専門知識を持たない人にできることばかりです。実際にNAJのリハウジング調査研究の時は全員が修復保存の未経験者でしたが、マニュアルと現場監督者のレクチャーだけで作業できました。シンプルな作業なので手間も時間もかかりません。リハウジングした棚の資料は手に持っても汚れが付かなくなって安心して出し入れできるようになりました。結果として資料を傷めるストレス要因がなくなり扱う担当者の負担も激減しました。
もちろんリハウジング工程だけでは利用に供せないような劣化損傷がある資料に対しては、軽度の修復・本格的な修復が必要とされるわけでそれは専門家に任せます。その判断はマニュアルにプラスして作業者が経験を積むことで可能となります。
より具体的な作業内容やコストについて【実践編】でまとめます。

★リハウジングの心構え
繰り返しになりますが、公文書館における基本原則の原形保存の原則では「史料の原形はできる限り変更しないこと」とあり、同じく記録の原則では「史料群の現状に変更を加える場合は記録に残す」とありますので、記録さえきちんと残せば形態は変えてもよいのです。例えば、イギリスの国立公文書館のリハウジングのマニュアル[Preparation of Records]には「厚過ぎるファイルは5㎝以下になるように分冊しなさい」とちゃんと書いてあるんです。欧米が全て正しいというつもりはありませんが大いに参考になります。
ということで、近現代資料アーカイブは原則をふまえた上で、ファイリング整理の手法で使いやすく収納改善してリハウジングしてほしいと切に思います。

*参照:NAJのリハウジング報告書
脱酸性化処理・リハウジングの試行実施を通じた調査研究業務 報告書

アーカイブのリハウジングしました

スマファイ店長は昨年度は国立公文書館の委託事業でリハウジングの調査研究を行いました。以前リハウジングに関してブログに書きましたが、その後本格的にリハウジングを実施いたしました。(調査の受託者は紀伊國屋書店でTRCCはリハウジング担当のみです) 詳細はNAJのウェブに報告書が公開されましたのでそちらをご覧ください。一つの報告書に脱酸とリハウジングがあってリハウジングは後半です。
脱酸性化処理・リハウジングの試行実施を通じた調査研究業務 報告書

ここでは、報告書とは違った視点でリハウジングの概念や実践例を段階的にご紹介したいと思います。
♪リハウジング入門編 All about Rehousing♪
 ★リハウジングとは
何度も言いますが「資料の形態を変えずに収納を改善して使いやすくし、破損や汚損を増やさない予防処置」のことです。
1)収納を改善して使いやすくするとは、、、
・資料を積み重ねた排架を変える。適切な包材に収納する。
2)破損や汚損を増やさないとは、、、
・外側の汚れを除去する。ダメージを与える紐などを取り除く。

★リハウジングの対象
ということで対象になるのは、外側に塵や埃が付着していて汚らしく見える資料やグシャッと紐で縛られている資料、折りたたんだ大きな資料、分厚い資料、棚に積み重ねて排架されている資料などです。これらは一見するとひどく傷んでいるように見えるのですが、実は破損や劣化がひどくないことが多いのです。(平成25年度のNAJの劣化調査でわかりました)
塵がついているので触ると手が黒くなります。直接積み重ねてるので下の資料を取る時に紐が引っかかって破れそうになります。なので、このままでは使いにくいからリハウジングが必要になるのです。
こういう資料を抱えているところって多いのではないでしょうか。

★リハウジングの基本
塵を刷毛でクリーニングすればきれいになるし、紐を取り除いて包材を変えたり排架を変えれば安全に手に取ることができ、活用できます。
そんな簡単なこと?って思われるかもしれませんが、それができないものなのです。だからNAJはリハウジングを実施するにあたり試行的に調査研究をしておく必要があったと思います。
ということで、具体的な内容は♪リハウジング基礎編♪に~。実際に行ったリハウジングはとてもすっきりする楽しい作業でした。

★リハウジングの背景
平成25年度のNAJの劣化調査報告の中でリハウジングの必要性を提案させていただきました。
欧米ではアーカイブの基本的な作業として浸透しているリハウジングは日本でも全ての公文書館やアーカイブ機関で取り入れてほしいものです。ファイリングの考えと同じで、サッと取り出せないアーカイブは厄介者でしかありません。スマファイ店長としてはアーカイブのリハウジングの重要性をお伝えしていきます。

1990年春号のthe American ArchivistのSpecial Preservation Issueでは、リハウジングは予防の手段で、大量で多様なアーカイブ資料の保存管理における基本作業とありました。それより新しい本のPreservation and Conservation for Libraries and Archives(2005年)の3章にSimple Preservation Techniques : Rehousing library and archive materialsがあります。リハウジングという言葉の意味から具体的な手順(ドライクリーニングや包材の選び方など)について詳細に言及されています。リハウジングという用語は1990年代から使い始められ、その後北米やオーストラリアに定着して、古い箱やフォルダを取り替えることや最初に包材で包むことを指して使われるようになったそうです。

★おまけ 余談ですが手元にあるオランダの資料ではRehousingではなくRepackingという用語です。昨年ポーランドのアーカイブで働いていたお客様にNAJの調査やリハウジングの話をしたら「ああ、リパッキングね~」とおっしゃってたので、ヨーロッパではRepackingを同じ意味で使うようです。他のヨーロッパの国はどうなのか知りたいな~(?_?)

AV資料整理<カセットテープ>スマートファイリング編【収納する】

カセットテープの整理をする日に史料室訪問。土屋さんと森先生、安藤さんが迎えてくださいました。 スマファイの箱は薄くて軽い段ボールなので組み立ては簡単です。私にできるのは早くきれいに組み立てるコツを伝授する程度。リーダー役の土屋さんが実際にどの順番で収納するか決めている間に、森先生と安藤さんと私の3人で箱をサクサクと組み立てます。お二人ともすぐに慣れて手際が良いため楽しく組み立てて、みるみるうちに箱の山ができました。 リストの順に古い時代のテープから納めます。なるべく隙間を作らないように収納し、同じグループでも入りきらなかったら次の内箱に入れます。そしてポストイットにリストの番号や簡単なタイトルを書いて箱の上に貼りつけます。外箱も同様です。順番を変える、重複テープを省くなどは、土屋さんと相談して決めます。整理しながら「○○先生のお話があった!」「あの時こんなことあったんだね」といった話で盛り上がります。しかしカセットテープは紙文書と違ってケースに入っていて中を見られないためタイトルで判断するしかなく、作業の手が止まらず時間がかかりません。 カセットテープをビッシリ納めると内箱は約1.6㎏。外箱に5箱入れると8㎏で結構重くなりますが、中に内箱が詰まっているためしっかりして女性でも持ちやすいです。

ここでスマファイ・ポイント~ SP1:外箱を重ねて収納してコンパクト 棚に外箱8つを4列2段に並べて、見た目もすっきり。全部で15箱なので、現在4棚→2棚になり、2棚分のスペースができました。 SP2:スペーサーの活用 分類の関係でどうしても箱に隙間ができる場合そのままだとテープがカシャカシャ動いてしまう。そこで、長方形のスペーサーでコの字に折って詰めてみました。段ボール紙の端材で作れて隙間もピタッと詰められて無駄なくいい感じ。こういう隙間を詰めるのをスペーサーとかインナーといいます。

2回に分けて、大学史料室の大量のカセットテープの収納整理をご紹介しました。アーキビスト目線で所蔵するAV資料というアーカイブの整理をデザインし箱にファイリングすることを、スマートファイリング式で形にさせていただきましたが、これってリハウジングの一つのモデルといえるかも。スマファイの容器がうまくマッチしてうれしいです。AV資料の整理はスマファイにお任せください! 最後に、恵泉女学園大学は教育に園芸を取り入れられているとのことで、学園のキャンパスには季節のお花の庭があふれてとてもきれいなんです。卒業生でもある土屋さんが翻訳された本をご紹介しますね。とっても素敵なお庭の本です。→ジーキルの美しい庭-花の庭の色彩設計

スマートアーカイブ!(大学アーカイブ3)

日本女子大学成瀬記念館を久しぶりに訪問してきました。A3スマートファイルボックスを使った後、今度は箱で平置きしていた資料をA4スマートファイルボックスに入れ替えをして、これまた使い勝手がよくなったと学芸員の岸本さんからお聞きして先月見てきました。

A4のファイルボックスはベニピンクの方を購入されたので、棚に淡いピンク色のファイルボックスが並んでいる様子はフワァッと明るくてきれいです。A4やB5などの小さめの資料や冊子、書籍を透明袋に入れてファイルボックスに縦に納めてあります。元々浅い被せ箱に入れて箱を平積みしていたものを、記念館のスタッフがピンクのA4スマファイボックスを見て「使える!」と思ったらしく、彼女のアイデアで平積みの箱から資料を出して、スマファイボックスに入れ替えて縦に配架して整理することになったそうです。(残念ながら、その彼女はお休みでお目にかかれず!) そうして中身が確定した箱にはテプラとラベルが貼ってあってとても見やすく、作業途中の箱にはポストイットが貼ってありました。

平積み配架だと下の箱は一旦上の箱を動かさないと取り出せませんが、狭い収蔵庫では効率の悪い作業です。縦配架だとどの箱もすぐ片手でサッと出せます。埃除けの蓋もあって開閉も楽ちんです。 別室ではキャビネットの中に納めたボックスの使い方を見せていただきました。こちらは上から取り出すので蓋にラベルが貼ってありました。見るからにすっきりして使いやすそうなスマートアーカイブです。

あらためて、学芸員の方が定型の容器を使って、大きさや形状の異なる資料を上手に収納されて使いやすくなっているのを見て、「容器の役目って中の資料を守ることと使いやすいことが一番だ」と感じました。資料が主役で箱は脇役です。もっと大学や企業の資料の整理に活用していただいてこのことを実感してもらわなくちゃ。

オランダの文化財防災マニュアル

ファイリングとは違う話題を少し。ショップの本社にはいろんな防災マニュアルがあります。昨年夏にアメリカの災害対策マニュアルField Guide to Emergency Responseを紹介しましたが、文化財の防災に関わっている関係で、ここではオランダの災害マニュアルを2つ紹介しておきます。hayami

1つめがCalamiteitenwijer(災害マニュアル)で、昔家で使ってた電話番号帳みたいなレトロな形です。オランダのナショナルカラーの紺オレンジの配色がおしゃれでしょ。水害、火災、盗難などの項目別で、めくると上に1.連絡先、2.行動、3.注意事項が簡潔にかかれています。シンプルですが、いざという時に役立ちます。

2つめがHandleiding voor het maken van een calamiteitenplan voor collectie-beherende instellingenといって、文化財保有機関の災害計画ハンドブックです。 こちらは4穴バインダーになっていて、事前に防災計画を策定するための9項目にわたる具体的なテキスト構成です。各項目にはカラフルでポップなイラストが配置されています。(写真の爆弾から他のイラストもイメージしてください。)青いインデックス部分は実は附録資料で資料群の優先順位や被害査定などに使うチェックリストのシートが何種類もファイルされています。 いずれもICNというオランダ国立文化財研究所という国の機関が製作したものです。知人の文化財関係者に見せると、内容以上にファッショナブルな点に驚かれますね。彼らのグラフィックのデザイン力にはいつも関心させられます。

このハンドブックにはおまけがあるんです。CALAMITYトランプです!(=災害トランプ) 初めて見た時大笑いしました!災害シュミレーションゲーム用なんですが、ハート、スペード、クローバー、ダイヤみたいな役割マークがちゃんとあって、とにかく、こんなの作っちゃうなんて、スマートなジョークです。(これの説明はまたの別に書きます。)