「修復保存」カテゴリーアーカイブ

紙の修復保存の夏の講義2

5日間の東海大学湘南キャンパスでの夏の集中講義を無事終えました。後半になると学生達もリラックスしてきて質問も出てきますねぇ。今回私は16、17世紀のヨーロッパの手漉き紙をライトテーブルで透かしてウォーターマーク(透かし模様)を見せてみました。ヨーロッパ的な紋章やクジラやライオンの形が面白かったのか、興味を持った学生がいて、やっぱり現物を見せると反応あります。リーフキャスティングやフィルムエンキャプスレーションのサンプルはいつも興味津々で穴が開くかと思うほど見てくれます。紙の劣化要因(酸性度、温度湿度、光、微生物など)や環境などは目に見えないものばかりですから。

実習をご紹介します。紙の酸性度を調べる実習は、チェックペンやpHメーターなどを使って自分たちの身の回りの紙が酸性か中性かを調べるのですが、ノート、本、封筒、レシート、お札、おみくじなどいろいろ出てきます。グループワークでは、積極的な学生、控えめな学生といるので全員が機器に触れるように働きかけて目を光らせます。この実習は毎年行っていますが、身の回りに酸性紙が少なくなっていることを痛感します。以前は酸性紙の代名詞だった新聞紙も中性紙チェックペンで紫になるものがありますから。またお札や商品券をマイクロスコープで観察すると、精巧な印刷や透かしにみんな夢中になります。

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紙の修復保存の夏の講義

東海大学湘南キャンパスで学芸員資格課程の集中講義に来ています。月~金まで5日間朝から夕方までびっしりです。私は修復保存論の担当で、紙を専門に講義と実習を半々に進めています。学生さんは50~55人。みんなまじめで熱心なので、こちらも気合が入ります。講義の時に「スペインでキリスト像が80歳の素人画家のおばあちゃんが修復してサルになったのが新聞に載っていたけど知ってる?」と聞いたらちゃんとみんな知っていて、大笑いでウケてました。午前中に紙の歴史、用語の説明、和紙や洋紙、パピルス、パーチメントのサンプルを見せたり、劣化の要因、酸性紙について話して、午後は実習をひとつして、修復理念、修復技術、保存と活用について話し、最後に別の実習という構成です。

実習はグループワークで紙の診断方法、表面のpH測定を実施します。ノートや文庫本やレシートなどの身の回りの紙のpHを測ったり、チェックペンで紫になるかみたり、マイクロスコープで観察したりします。学部が別で初対面なので互いに遠慮しながらもだんだん和気あいあいと協力しあっていく様子がほほましいです。

マッティング実習中

もうひとつは写真やはがきや雑誌のスクラップを本紙と見做して、ブックマットを製作する実習です。厚い紙を切ったり、物を測って余白を計算したりしたことないので、結構、オタオタする学生さんが多いです。女子は特に、カッターで1.6mm厚の中性紙ボードを45度の角度で切るのに難儀してました。私が手本で切ってみせると「おおおぅー!!!」と歓声があがりいい気分(^-^)/(できて当たり前なんですが)。説明を聞いてないのか間違える子も続出ですが、それも経験です。最後にはなんとかみんなちゃんと立派な保存額装ができあがります。本物の美術品などに使う英国製中性マットボードだぞ〜と言ったら、みんなうれしそうで「20年後にどうなっているかな」と言ってたのでちゃんと保存性のことを理解しようとしていて私もうれしいですね。 続きを読む 紙の修復保存の夏の講義

パリ便01 国立図書館アポ取れず

ロンドンからパリのお話に入るのですがその前に、、、、ロンドン最終日は優雅にホテルの英国式アフタヌーンティーをゆったりと楽しみました(ウィンブルドン期間限定バージョン)。そして夜便のユーロスターでパリに移動。高速列車で国境を越えられて楽チンでした。

パリ滞在中には国立図書館(Bibliothèque Nationale de France)の修復保存室を見学予定していましたが、ギリギリまで日時の連絡がなくて行けず。実はTRCCのリーフキャスティングマシンを作ったペア・ラウアセンの連続式リーフキャスティングマシンを見に行く予定でした。これはアジアでは唯一インドネシア国立公文書館にあります(アチェの津波被害の時に大活躍しました。ご存知ですか?)。連続式リーフキャスターはヨーロッパの多くの図書館や公文書館にあるもので少なくとも7台、おそらくもっとあると思います。 続きを読む パリ便01 国立図書館アポ取れず