文化財防災ウィールに続くガイドについて

先月文化財防災ウィール製作について取材を受けました。文化財防災ウィールとは2004年7月に文化財保存修復学会が監修して発行されたもの。東日本大震災の直後から紹介されることも多くご存じの方も少なくないと思います。元々TRCCでオリジナルのアメリカ版Emergency Response and Salvage Wheelを日本に紹介、翻訳してアメリカ側の文化財保護団体Heritage Preservationと日本語版発行の交渉をしたということで「ウィール製作の経緯ならTRCCに」と学会からの紹介でお見えになりました。
お客様は大学図書館の司書3名。
彼女たちは東日本大震災が発生する1年以上前に、同じHeritage Preservationが製作したField Guide to Emergency Responseという災害対応のガイドを知り、まさに図書館員に必要な内容ばかりでこの日本語版があれば便利で有益だと思い有志で翻訳を進めていたとのこと。そうこうしている内に東日本大震災が起こり、メンバーの異動などで翻訳作業は中途になったそうです。今回、日本版をどうするかということで相談に来られました。 続きを読む 文化財防災ウィールに続くガイドについて

パリ便03 国立公文書館に行ってきました。

滞在4日目に国立公文書館を訪れました。マレ地区(東京に例えると代官山のようなおしゃれなエリア)の中心にあり、Musee de l’Histoire de France Archives Nationalesと表記されています。7月のパリはソルドといって夏のセールの真っ最中。マレでお買い物を楽しんだ後公文書館に寄ってみました。

建物はクラシックな歴史的宮殿で、資料展示は照明を落としたショーケースの中にパーチメントや古い手漉き紙にインク書きの古文書や手稿類や絵画。目玉は太陽王ルイ14世、ナポレオン、ジャンヌ=ダルク、マリーアントワネットなど重要な人物に関する古文書らしいのですが、キャプションがフランス語でよくわかりませんでした。調べたところ、フランスの国立公文書館は1794年に法で設置が定められて、1821年には国立古文書学校も設立され卒業生は専門官として国内の公文書館に配属されているとのこと。長い歴史があるようです。

珍しいことに、メイン展示室の一角に古 文書と現代の保存箱の書棚が再現されていました。その箱は無印良品でみたことのある「コシャーさんの箱でした!実際に見るとレトロな作り。段ボールでなく厚ボードのシェルボックスで側面をステープラーで固定した簡素な構造で蓋と身は一対の紐を結んでファイルボックスとして縦置きしていました。箱を引っ張って取り出すための紐(英語ではHandling strapという)が箱の底部に付いていて機能的。ステープラーで綴じた感じが昔っぽいし、紐で結ぶのもヨーロッパのアーカイブズによく見られる伝統的なスタイルでいい感じでした。 他から見たらこういう古臭い箱を使い続けるのはフランス的なんでしょうね。(パリ在住の友人や修復家もそういってました)

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パリ便02 建築アーカイブズもアポ取れず

パリ滞在中にもう1か所訪問予定だったのが建築アーカイブズです。しかしまたしてもアポの確認がとれず行けませんでした。この点今回パリはツイてなかったです。日本から建築アーキビストを通じて連絡を入れていてギリギリになってメールが来ることがあるからと言われロンドンでも待ちましたが、ダメでした(;O;) イギリス同様、フランスの建築アーカイブズの取り組みは進んでいると聞いていたのでフランス建築協会にある20世紀建築アーカイブズも訪問したかったので残念!

で、建築文化財博物館Cité de l’architecture et du patrimoineには行ってきました。解説文によると、、、、

≪建築ではヨーロッパ最大規模の博物館。1階はフランス各地より集められた歴史的建造物の実物大の複製展示がメインで、パリにいながらフランス各地の世界遺産を体験できます。また2階は近代建築のフロアとなっており、有名建築家の設計図や資料、近代建築の父と呼ばれるル・コルビジェがマルセイユに作った共同住宅の部屋の実物大模型など、興味深い展示物がたくさんあります。略≫

以下は私の感想です。

歴史的建物の一部がそっくりそのまま切り取られている様子は一見おかしいようなのですが、赤い壁面に大胆に展示させていて意外と楽しめました。普通なら建物の高いところにある彫刻などを目の高さの近くで見ると迫力が伝わり面白かったし、きっと複製が安っぽくなく完成度が高いからだと思います。(展示室のレイアウトが複雑で私には館内マップもわかりにくく、)展示室を出たり入ったりしているうちに迷うのですが、教会の天井画や祭壇、ステンドグラスなどにひょっこり出会ったりして、中世の街に入り込んだような感覚になったりしました。

特筆すべきは、2階建築文化財博物館の中からの南側の窓からドーンとエッフェル塔が見えるのですが、その眺めがほんとにきれいでした。視界を遮るものもなく観光客もいないので写真撮影にバッチリです。個人的には、お尻が大きくて安定感のあるエッフェル塔の方がスリムなスカイツリーより好きかな。

パリ便01 国立図書館アポ取れず

ロンドンからパリのお話に入るのですがその前に、、、、ロンドン最終日は優雅にホテルの英国式アフタヌーンティーをゆったりと楽しみました(ウィンブルドン期間限定バージョン)。そして夜便のユーロスターでパリに移動。高速列車で国境を越えられて楽チンでした。

パリ滞在中には国立図書館(Bibliothèque Nationale de France)の修復保存室を見学予定していましたが、ギリギリまで日時の連絡がなくて行けず。実はTRCCのリーフキャスティングマシンを作ったペア・ラウアセンの連続式リーフキャスティングマシンを見に行く予定でした。これはアジアでは唯一インドネシア国立公文書館にあります(アチェの津波被害の時に大活躍しました。ご存知ですか?)。連続式リーフキャスターはヨーロッパの多くの図書館や公文書館にあるもので少なくとも7台、おそらくもっとあると思います。 続きを読む パリ便01 国立図書館アポ取れず

ロンドン便07 箱のことを書く前にオリンピック!

連日オリンピックに湧くロンドンからニュースが入ってきます。

私は開会式を録画して翌日見たのですが周りに見た人がいなくて残念。(見た人の感想を聞きたい!)中世の田園風景から産業革命、ピーターパン、ロックミュージックなどのショーの間に007や炎のランナーのパロディなど、イギリス流のエンターテイメントを楽しみました。国民皆保険制度NHSだとか、wwwの考案者がアメリカ人でなくイギリス人だとかいうことをバーンと開会式で紹介するあたり、やられた感があります。無理とは承知でMr.ビーンが出てきてほしいなと思っていたので本当に登場した時は大爆笑\(^o^)/。英国の太っ腹に感服しました。その他、開会式は各国選手団のユニフォームを見るものも好きです。日本は次のリオ大会で草間彌生さんに水玉模様のユニフォームをデザインしてほしい!帽子もぜひお忘れなく願います。世界中のテレビに映し出されるのですからインパクトを! 続きを読む ロンドン便07 箱のことを書く前にオリンピック!

ロンドン便06 細密画ワークショップ≪余談≫

British LibraryとBritish Museumに見学に行った時、館内で保存箱が目に入りました。コンサベーション・バイ・デザイン社(CXD)の箱は日本で見て知っているのですぐわかりました。ダークグレーのプレミアムコルゲートボードのシェルボックスと同じくダークグレーのアーカイスネーク・ウェイトバルボックスボードの差し込みフォルダーでした。G.RYDER社の黒や赤のバックラム貼りのクラシックな保存箱にはマット装にした作品が収められていました。そして貴重書を見る時、分厚い本や極端に小さい本の開きが悪くて押さえるのに使ったのがスネークウェイト。これもCXD社の製品。

2社とも王室御用達のロイヤルワラントを受けていてかっこいですね!日本に代理店があるので手に入りますよ。

CONSERVATION BY DESIGN社    G.RYDER社

ロンドン便06 細密画ワークショップ

ワークショップPainting and Illumination in Persian and Indian books of the 16th and 17th Centuriesの様子をお伝えしたいと思います。ロンドンのInternational Academic Projects(IAP)というコンサベーション専門の教育普及団体の9時からの1日コースです。講師は細密画家のAnita ChowdryさんとBritish Libraryのイスラム細密画キュレーターのBarbara Brendさん。場所はBritish Library(BL)、British Museum(BM)まで歩いてすぐのAnitaさんのスタジオ。Anitaさんはアーティストの活動と並行して技法や顔料、道具の研究をする中でBLやBMのキュレーターと信頼関係を築いているのでこのようなワークショップを行えるようです。インド出身の優しく穏やかに話す方で安心しました。参加者は、私同じPaper Conservator3人と、カンバーウェルのBook Conservation MA学生、BMのインド人のキュレーター、クリスティーズのイスラム美術担当者、美術愛好者の合計7人。到着ホヤホヤでまだ英語も慣れてなくてドキドキでしたが、友人も参加していたので心強かったです。 続きを読む ロンドン便06 細密画ワークショップ

ロンドン便05 紙と製本の専門店:FALKINER

大英博物館のすぐ近くにある紙と製本関係の専門店SHEPHERDS FALKINERを紹介します。修復というより製本関係の紙や革などの材料、道具がそろったお店です。製本専門店らしく、サンプルを入れているのはクラシックなバインダーボックス。バックラム張りで背文字は金の箔押しの豪華版。バインダーは4穴でした。やはりヨーロッパは4穴バインダーが多いですね。

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